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2015年07月20日(月)

失敗しない遺言書の作り方


 最近、遺言の書き方に関する質問を受けることが多くなりました。
そのような質問の中から、いくつかをピックアップしてお答えします。


(質問)
  ビデオに録画するとともに遺言の内容を録音することで「遺言書」に替える
 ことは可能でしょうか。
  文章にするより手軽で、残された家族にも愛情を感じてもらえるように思うのです・・・。

(回答)
  財産の処分に関わるような重要事項については、ビデオや録音テープに発言として
 遺言の内容を記録しておいても、文書として残された「遺言書」と同一には扱われません。

  たとえば、「都内ドコソコの土地をA美に相続させる。」といった発言が
 ビデオに遺言者の姿とともに録画・録音されていたとしても、
 同じ内容が「遺言書」として文書で残された場合と同一の効力はないとされます
(最高裁昭和62年10月8日判決参照)。

  その理由は、ビデオテープや録音テープは、文書に比べて修正が容易であり、
 特定の人に有利(あるいは不利)な部分をカットしたりして、内容が改変される恐れがあるため
 とされています。この事情は、多かれ少なかれ、デジタル化されたCDでも同じでしょうか。
  もっとも、偽造や変造の可能性は、文字を用いて文章で作成された書面でも
 多かれ少なかれ事情は同じですから、ほんとうのところは「遺言書」というものについて
 民法が特定の「方式」を採用した以上は、多様な方式を認めることは避けたい、といった
 形式的な理由であるように思われます。

  理由はさておき、現在のところビデオによる遺言では、
 重要な財産の処分に関わるような遺言について、裁判上無効とされることになりますから、
 「ビデオレター」といったオシャレな方式は採れません。

  ビデオレター方式を採用できる遺言は、残された遺族への感謝の言葉や  
 教訓を残したいといった財産処分に関わらない範囲に止めましょう。