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2017年11月27日(月)

離婚をめぐる問題点について

1 結婚式の華やかなシーンからは想定し難いことですが、
 離婚ということも人間のいとなみの中では生じ得る事態の一つではあります。

  そういった離婚にまつわる事案のうち、最も議論の多いのが「不倫」を働いた側
 (夫婦は、相互に貞操を守る義務を負うことから、その義務を順守しなかった側は
 「有責配偶者」とされ、男性、女性を問いません。)からの離婚請求が認められるか、
 という点です。

2 この点、1980年代のある時期までは、有責配偶者からの離婚請求は認めるべきではない、
 との考え方が優勢で、最高裁もそのような判決を下していました。

  その背景には、1950年代〜1970年代においては、男・女の経済力の格差から、
 裁判となるような事案では男性側に強く非難されるべき事情(最高裁昭和27年2月19日判決参照)が認められる
 ケースが多かったことが原因ではないかと推測されます。

   しかしながら、1987年(昭和62年)9月2日の最高裁判決は、有責配偶者からの離婚請求であっても、
 「@夫婦の年齢及び同居期間と対比して相当長期にわたり別居し、
  Aその間に未成熟子がいない場合には、B相手方配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に
  極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反する
  といえるような特段の事情のない限り、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはで   
  きない。」として条件付きながら、有責配偶者(男性側)からの離婚請求を認めました。

3 このように最高裁の判断が変化した理由は、次のように考えらえます。
 すなわち、夫婦共同生活の実体がなくなり、将来も回復見込みがない者同士において、
 戸籍上だけの婚姻を存続させることは不自然である、との考えが強くなったものと思われます。
  又、かつての昭和27年の旧判例が重視したような離婚要求を着き付けられた妻側の経済的不利益は、
 男性側からの経済的給付(慰謝料や財産分与)でカバーできる、とも考えられます。

4 有責配偶者からの離婚請求が認められる別居期間はどれくらい必要か。

  この点、先の最高裁判決は「夫婦の年齢及び同居期間と対比」して
「相当の長期間と認められること」を要求していますが、具体的年数は示していません。

  過去の下級審の判決では、㋐同居期間が18年6か月で別居期間は1年6か月であるにもかかわらず
 離婚を認めた例があります(但し、妻にも帰責事由がありと認定された事例です。)。
 反面、㋑同居期間が5年で、別居期間2年3か月(但し、7歳と6歳の子供あり)、
 ㋒同居期間11年で、別居期間8年11か月(但し、12歳の子があり、離婚を求められた妻は病弱)
 という両ケースで、いずれも夫からの離婚請求を否定しました。

  この3例だけから断定することは慎重を要しますが、
 別居期間が婚姻(同居)期間の半分程度あるいはそれ以上に及んでいたとしても、
 未成熟の子があり、その養育や離婚後の配偶者(妻)の生活に不安が残る場合、
 裁判所(あるいは裁判官)は、容易に有責配偶者からの離婚請求を認めない傾向にあることが理解されます。

  逆に言うならば、未成年(未成熟)の子があったとしても、面接交渉等により、
 その育成に関する配慮がなされ、かつ養育費や離婚後の母・子の生活に十分な保障がなされ得るなら、
 別居期間の長短は、絶対的な基準ではないと考えることもできます。

  一度離れてしまった男女の心は、神ならざる法律で再び元に戻すことはできないでしょうし、
 そのような形ばかり(戸籍上の)夫婦関係を強いるのは、不幸な婚姻を長引かせるだけではないでしょうか。
 離婚の要件について、裁判所はもう少し柔軟に検討しても良いように思います。いかがでしょうか。